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院長ブログ
2013.06.21
『ありがとう、ありがとう、ありがとう』
おはようございます!!
今日も一日全力で顔晴ります!!!!
「ある男の子」
私は
「ありがとうございます」
という言葉がどんなに大切かを
一人のお母さんから教えていただきました。
そのおうちでは、こんなことがありました。
最初に生まれた男の子は
高熱を出して精神薄弱になってしまいました。
次に生まれたその子の弟が、ちょうど2歳のときでした。
ようやく口がきけるよになったある日
この弟がお兄ちゃんに向かって
「お兄ちゃんなんて、バカじゃないか!」
と言ったのです。
お母さんは、ハッとしました。
それだけは言ってほしくない言葉だったからです。
そのときお母さんは弟を叱ろうと思いました。
しかし「待ってみよう、この弟の小さな体の中に
お兄ちゃんをいたわろうとする気持ちが芽生え
育ってくるまで、長い時間がかかるだろうけど
待ってみよう」と思い直したのです。
その日からお母さんは
弟がその日お兄ちゃんに言ったことを
毎日ノートにつけていきました。
今日はこう言った、あしたは、あさっては。
そして一年たち、二年たちました。
しかし、相変わらず弟は「お兄ちゃんのバカ」
しか言いませんでした。
小さいから仕方がないかもしれません。
お母さんは何回もあきらめようとしました。
弟が幼稚園に入った年の七夕の日のこと。
偶然、近所の子どもたちや親せきの人たちが
家の中にたくさん集まって来ました。 あんまり人が来たのでお兄ちゃんは興奮したのか
みんなの頭をぶちはじめました。
みんなは「やめなさい」と言いたかったのですが
そういう子どもですので言い出しかねていました。
そのとき。隣の部屋から小さな弟が
パーッと飛び出してくると
お兄ちゃんに向かってこう言ったのです。
「お兄ちゃん、ぶつなら、ぼくをぶってちょうだい。
ぼくは痛いって言わないよ!」
お母さんは長い間、その言葉を待ち続けてきました。
「お兄ちゃん、ほかの人はぶたないで。
ぼくは痛いって言わないから気が済むまで
ぼくをぶってちょうだいっ!」
その日のお母さんのノートには何と書かれていたでしょうか。
「坊や、ありがとう。ありがとう。ありがとう。 ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。」
と何ページにもわたって「ありがとう」と書いてあるのでした。
人間が本当に感動したときの言葉というのはこういうもの。
やがて、弟は小学校に入学。
入学式の日、教室で席順が決まると
この弟の隣の席に、
小児麻痺で左腕が不自由な子が座ったのです。
お母さんの心は揺れました。
家ではお兄ちゃん。
学校ではこのお友達。
その晩、両親は家を引っ越そうか、弟を転校させようか
と朝まで2人で話し合いました。
最初の体育の時間でした。
先生はこの手の不自由な子が、
どうやって体操着に着替えるか黙って放っておきました。
それがきっと、この子のためになるだろうと思ったのです。
そして、その子は生まれて初めて
右手一本で体操着に着替えました。
しかし、着替え終わったときには
体育の時間は30分も過ぎていました。
二度目の体育の時間に先生は
もう一度放っておきました。
するとどうでしょう、先生が校庭に出ると
この手の不自由な子がほかの子と一緒に
きちんと並んで待っていたのです。
どうしたのかと思って、
先生は、次の体育の前の休み時間に
柱の陰からそっと見ていました。
すると、前の時間が終わるとすぐに
あの弟が、まず自分の洋服をパーッと着替えてから
その隣のお友達を一所懸命手伝うのです。
小学校一年生です。
この不自由な手に体操着の袖を通してやるなんて
お母さんでもむずかしいのです。
それを一所懸命通して2人で駆け出して校庭に出て来ました。
そのとき先生は、この弟をほめてやろうと思いました。
しかし、ほめたら
「先生にほめられるからやるんだ、
ほめられたからやるんだ。」
ということになるかもしれない。
それではせっかく、あの子が自発的に始めたものを
こわす結果になってしまう。
そこで先生は、ほめてやりたいけれども
心を鬼にして黙っていたのでした。
ある七夕の日のこと。
授業参観をかねた初めての父母会が開かれました。
先生は子どもたちに短冊にお願い事を書かせて
それを教室の笹に下げておきました。
お母さんたちが集まったところで
先生は一枚一枚、短冊を読んでいきました。
小学校一年生ですから
「あのおもちゃがほしい」 「おこづかい、もっとちょうだい」
というようなことが書いてありました。
ずっと読んでいった中の一枚の短冊にこう書かれていました。
「かみさま、ぼくのとなりのこのうでを、はやくなおしてあげてください」
あの弟が書いたのです。
先生はこのいちずなお祈りを読むと
もう我慢が出来なくなって
あの体育の時間のことをお母さんたちに話しました。
小児麻痺の子のお母さんは
毎日、わが子どもが教室でどんなに不自由しているだろう
申し訳ないことをしてしまったと
教室に入れずに廊下から中の様子をじっと見ていましたが
先生の話を聞いたとき
突然、廊下から飛び込んできました。
そして教室に入るなり、ぺったりと床に座り込んで
この弟にしがみついて絶叫したのです。
「坊や、ありがとう。ありがとう。ありがとう。 ありがとう。ありがとう。ありがとう。」
その声が学校中に響き渡ったそうです。
私はこんな小さい時から
お兄ちゃんを思い、お友達を助け、
みんなの前でシャツを着替えさせる勇気をもったこの弟は
たとえ成績が悪くてもこの子はこれから、
どんな素晴らしい人生を歩んでいくのだろうかと思います。
そして、こうしたやさしい思いやりの心と才能を
時間をかけて引き出したお母さんと先生の気くばり。
私はこういうのを
教育と呼ぶのだと信じています。
出典 「気配りのすすめ」 著 鈴木 健二
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
感動です。
信じて待ち続けたお母さん、男の子の純粋な思いやり・・・・
心に響きます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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