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院長ブログ
2014.06.30

『粋な借金』

『粋な借金』

おはようございます!!!





今日も一日、全力で顔晴ります!!!





「粋な借金」





粋に生きていた江戸っ子たちですが、実は借金まで粋でした。




江戸時代もお金を借りたときには、当然、借用書を書くのですが、

これが欧米なら、期日はいつで、それまでに返せなかった場合は

利子がこう、担保がこうと、膨大な但し書きが加えられます。




ところが、江戸時代に交わされた但し書きは違うんです。




江戸時代は、期日までに返せなかった場合の但し書きに、

なんて書いたと思いますか?






「お笑いくだされ」






この一言だけなんです。




新渡戸稲造が著した『武士道』にも、このように書かれています。





「恩借の金子御返済相怠り候節は衆人の前にてお笑いなされ候とも不苦候」


もし私が借金を返済しなかった場合は、衆人の前で笑われても苦しからず、

というのが証文になってしまうのですから、武士ってすごいです。



町人だって負けてはいません。



江戸には、たくさんの店が軒を並べていましたが、

ほとんどの取引は「盆暮感情」と呼ばれ、

支払いはお盆と年末の2回だけ。いちいち証文も書きません。



お客は商人がつける帳面の内容を信頼し、

商人も、お客さまがちゃんと払ってくれることを信じているから、

こういう取引が成り立っていたのです。





自分を信頼してお金を貸してくれたり、商品を売ってくれた人を裏切るのは


「野暮」


だから自分のプライドにかけてお金はちゃんと返す。




正しいか正しくないかじゃない。

得か損かでもない。

粋か野暮か。


そこにプライドをかけているんです。

そんな人生のものさしって、かっこいいと思いませんか?





江戸の粋な生き方の例を、江戸しぐさからも探ってみましょう。



人とすれ違うときに、お互いが右肩をスッと引く。

これは、肩と肩がぶつからずにすむ”肩引き”と呼ばれる所作です。


雨の日にすれ違うときには、相手の足元に傘のしずくが落ちないように、

傘を外側に傾けます。これは”傘かしげ”と呼ばれていました。


乗り合い舟が混んできたら、江戸っ子たちは握りこぶしひとつ分ぐらい腰を浮かせて

さりげなく席をつめていきます。これは”こぶし腰浮かせ”。



広い場所をわがもの顔で独占するのは野暮ですが、

これ見よがしに席を譲るのも野暮なんです。


相手に心の負担を感じさせずに思いやるのが粋というものです。





18世紀初頭には、江戸の人口は100万人を超えていたと言われています。
(同じ時代のロンドンで約86万人、パリが約55万人ほど)

しかも、江戸の町の大半は武家屋敷で占められていたので、

町人は町全体の5分の1ほどの地域で、ひしめき合って暮らしていました。

おそらく世界一の人口密度だったでしょう。





そういう環境の中で、争いごとを起こさず、

みんなが心地よく暮らすために、江戸っ子たちは互いの感性を磨いていったのです。

こうして磨き上げた感性から自然に出てくる所作を”江戸しぐさ”といいます。




”江戸しぐさ”の「しぐさ」とは、「思草」と書きます。

「思」は、「思案」「思慮」「思想」などの「思」

「草」は「言い草」などの言葉に使われる「草」と同じで「行為」のこと。




つまり、「思草」とは「思いと行動は一つ」ということです。

知識ではなく、感性なんです。

粋な大人とは、他人を思いやる感性を持ち、それを瞬時に表現できること。

江戸っ子たちはそんな粋な大人を目指していたのです。




江戸時代の日本は、200年以上戦争がなかったわけですが、

これは、世界の歴史のなかでも特筆すべきこと。

これだけの大都市でありながら、犯罪もきわめて少なく、

殺人事件は幕末の騒乱期を除き、年に一件あるかないかだったそうです。

人々の粋な生き方が、穏やかで平和な社会をつくりだしていたんですね。





最後に粋と野暮は何が一番違うのか。

その根っこの部分を一言で言うならば”共生”の思いがあるかないか。

そこに尽きるのではないかと思います。



「私は生きている」ではなく、

人と人とのつながりのなかで、

「私は生かされている」

という感性。



共生、それは、おかげさまという感性です。






出典  人生に悩んだら日本史に聞こう   著  ひすいこたろう&白駒妃登美   祥伝社

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前回に引き続き、江戸時代の粋な感性のお話でしたが、

信頼を裏切らないというプライド、相手をさりげなく思いやる心遣い、行動。



これは、ものすごい美学だと思います。

合理的な考えではこれは全く無意味なことかもしれませんが、

私はこの感性、美学がものすごく好きです。



共生

おかげさま


これに尽きるのかもしれません。




最後までお読み頂きありがとうございました。

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